指導案を書く時、パソコンに向かう前に。
全体研を終えると、公開研に向かいます。
全体研で明らかになったことをもとに、授業をつくり始めるのです 。
研究日や冬休みの時間を使って指導案審議が始まります。指導案審議といっても、「精神と時の学校」で特別だったのは、い わゆる3枚の指導案(鑑、指導計画、本時案)だけではありません でした。
むしろその3枚の審議に入る前の資料、子どもの実態や、指導要領解説から、「つけたい力」についての資料の審議に多くの時間を割いていました。
「つけたい力は本当にこれでよいのか」「指導要領の解釈はよいの か」
それがOKとなると、次は教材を審議にかけます。教材が通れば、 流れ図。流れ図が通ればいよいよ指導案・・・。
といった具合に決まった段階を踏んで指導案を完成させていきます。
子どもの実態、つけたい力、指導要領の解釈、そして全体研で明らかになったことと照らして、審議にかけた教材が本当によいかどうかをしっかりみんなで吟味していくのです。
審議するメンバーは、年次を考慮して2つのグループに分かれて います。
グループで年次が上の人から質問されて答えられなかったり、必要 な資料が生じたりした場合は、次の審議までの「宿題」となります 。
また、「宿題」がたまりすぎたときは、審議から外れ、一人での作業に入ります。このことは「別室送り」と言われていました。
また、比較的年次が上の人から審議されていきます。まだ年次が低い者は、自分以外の審議を見ながら、学んでいくのです。
最初の方の審議が長引いて、せっかく、準備していた資料が審議されないまま終わってしまうこともありました。
しかし、審議されていないからといって、何も学びがないわけでは ありません。
他の人の審議を聞いていて、「こんな資料が必要だ」ということを 自ら考えて追加したり変更したりする必要がありました。
そのようなことをしながら、主に3年次以下くらいのグループ内のメンバーの全教科の審議をしていくのです。
このようなグループ審議には随分と長い時間を費やしましたが、し かし、このグループ審議によって、いろんな教科の特質について学 ぶことができました。
また反対に、子どもが問いをもって学習を進めていくには、どの教科にも通じるものがあることもわかりました。
そして、この審議の大切さは、さらに後になってわかりました。
指導案3枚は、このような審議を終えたあとだと、あっという間にかけてしまうのです。
授業をつくるには指導案3枚の裏にある、教材研究がいかに大切か ということを身をもって知りました。
ついつい、指導案をかくとなると、いきなり鑑の児童観から、、、 と書いてしまいます。
しかしPCに向かう前に、3枚を書き始める前に。どんな力をつけたいのか、そのために教材にはどんな価値があるのか。といったことにしっかりと向き合っておくことは、かえって指導案3枚をスーム ーズに書けるだけでなく、より深みのある授業につながると思います。
読んでいただき、ありがとうございました。