指名も手立て
指名によって、授業を作っていくこと。「指名も手立て」であることを学びました。
公開研のときは、主に課題についての考えを出し合うところから始め、課題を解決する場面を授業することが多くありました。
そのため、前時は課題(問い2)が位置付いて、課題に対する考えを子ども達にノートなり、ワークシートなりに書かせて集めるまでをしておきます。
そして、座席表に子ども達の課題に対する考えを記入し、どの子がどんな考えを持っているのかを把握して、授業を組み立てていきます。
まず最初はAさんに当てよう。
そしたら、同じような考えをもつBさんや、Cさんも発言しやすくなるだろうから発言させよう。
次に違う視点をもったDさん。
2通りの考えが位置付いて、どちらかで考えをだしあわせたところで、新たな視点のEさんの考えに出会わせる。
するとみんな、自分の考えとEさんの考えを比較し、自分の考えを見直したり深めたりし始め、ねらいへと迫っていくのではないだろうか。
このように、指名順によって、教室状況を作っていくのです。
最初は浅い考えの子から出させて、だんだん深い考えに出会わせていく流れ。
また、大正解のような考えを出させ、反対の考えも出させながら、対立状況をつくりながら、理解を深めていくような流れも。
このように意図的な指名により、教室状況をコントロールしながら授業を組み立てることができます。
教師がコントロールといっても、子どもの発言をもとに授業が進んでいくので、子どもにとっては、自分達が主体で進んでいる気持ちになるはずです。
でも、「こんなことは座席表に子どもの考えを書いてるような、公開研や研究授業だからこそできるんだろう。」「普段の授業には役に立たない。」って思う方もいらっしゃるかもしれません。
自分も最初はそう思っていました。しかしそうではありませんでした。
そういう授業をしていると、普段の授業でも、指名を大切にするようになります。それまではなんとなく、挙手した子どもに指名していました。しかし、指名によって、授業がコントロールできることを意識しながら指名すると、挙手した子どもだけでなく、いろんな子に意識がいく。挙手してなくても、この子、言いたそうだな。とか、この子に言わせたいな。と思えてくる。そんな子に指名し発言を促すと、不思議とちゃんと発言してくれる。
中身もこちらが想定した通りに発言したり、授業が流れたり、ということが出来てきます。
誤解のないように言うと、「言わせたい」のは決して答えとなるようなことを言わせたいわけではありません。正解を言わせて「そうですね。みんなわかりましたか」なんて、授業では駄目ですからね。
その時々の教室状況(課題意識を持つ状況、見直す状況、ねらいに迫る状況)をつくるため、時には敢えて、ねらいに反対の立場の発言を期待したりするのです。
最近は、資質・能力を育むために、学び方の改革もすすみ、研究授業でも教師と子どもの発言だけですすんでいくような授業は少なくなりました。それでも指名することは必ずあります。
そんなとき誰にどんなタイミングで指名するかということは重要だと思います。
「指名も授業の手立てである」そんなことを日々の授業の中でも是非心がけてみませんか。
日々の授業の楽しみも増すと思いますよ。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。