「精神と時の学校」で学んだこと

「1日が365日」とまではいかないけれど、いた時間以上に多くのことを学んだ学校。そこで学んだことを紹介します。

卒業式の朝のお別れ式は5年生の検定試験

卒業式の日の朝に、縦割り班との6年生とのお別れ式を行っていました。

 

卒業生が体育館に入る前、1〜5年生が、廊下の両側に列をつくって待ち構えます。

 

そこに、6年生が並んでやってきて、ちょうど縦割り班の前に立つのです。

 

そして、順番に6年生にお別れの言葉を述べていきます。

最後に、縦割り班の1〜5年生までのメッセージと、メンバー全員が写った写真が載った色紙を渡し、6年生がお別れの言葉を述べます。

 

色紙を受け取って、感極まり、言葉にならない6年生も。

 

そして、名残が尽きない中、6年生の列は再び進み出します。一年間過ごして来た縦割り班のメンバーとお別れした気持ちを胸に、卒業式へと向かうのです。

同じく、 4、5年生は6年生からもらった最後の言葉を胸に、卒業式へと向かうのです。

 

この卒業式の朝の取り組みは、卒業式直前にお別れ式行うことで卒業式に向かう気持ちをつくる。そのためだけに行われる訳ではありません。

 

この朝のお別れ式には、さらに別の意味がありました。

 

それは、6年生がいなくなったあと縦割り班のリーダーとなる5年生の、言わば、最高学年検定試験です。

 

お別れ式で6年生に渡すための色紙は、5年生がそれまでに準備をします。休み時間などを使い、自分の班のメンバー全員のメッセージを自分で回収し、チェックし、貼り付けていくのです。

 

約束したはずなのに、回収しに行ったら、下級生は遊びに行っていていない。

やっと、手に入れたと思ったら誤字脱字や、6年生には見せられないような雑な字。書き換えさせる必要がある。

そうやって苦労しながら色紙を作りあげていきます。

下級生をお世話することの大変さと、6年生の偉大さを色紙作りを通して知るのです。

 

さらに、当日の朝、お別れ式は5年生の仕切りで全て行います。

卒業式の中で「来年は自分達がこの学校を引っ張っていきます!」といった台詞をよく5年生が言うことがありますが、それを身をもって見せるのです。

 

このようにして、4月に6年生になって急に最高学年になるのではなく、卒業式に取り組む過程や当日の朝を利用し、最高学年となる心と態度を育てながら、5年生を最高学年へとしていきます。

また、卒業式に出ない、1〜3年生も、最後の卒業式の朝の6年生の姿を焼き付けながら、6年生へとなっていくのです。

 

日程などの都合で、卒業式に出ない学年は卒業式の日の朝、登校だけして、すぐ下校する場合があります。

しかし、例え僅かな時間でも、卒業式の朝、6年生とのお別れの時間をつくるために、時間や動きをやりくりするのは、私達教師のとても大切な仕事の一つだと思うのです。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。