「精神と時の学校」で学んだこと

「1日が365日」とまではいかないけれど、いた時間以上に多くのことを学んだ学校。そこで学んだことを紹介します。

卒業式の呼びかけ

前回は卒業式の朝のことに書いて書きました。

 

今日は卒業式の中のことで一つ。

 

卒業式の中で、卒業式と在校生で互いにお別れの言葉を呼びかけ合う場面があります。

 

どの学校でも必ずあると思います。

 

「精神と時の学校」では、その呼びかけにおいておそらく、決定的に違うところがありました。ひょっとすると、同じように取り組んでいる学校もあるかもしれませんが、、、。

しかし、私が今まで勤務していた学校の中ではありませんでした。

 

それは、卒業生と在校生のお別れの言葉は、卒業式のとき、互いに初めて聞く。ということです。

練習では聞かせない。呼びかけは飛ばす。

 

互いに呼びかけをするのは最初で、最後。卒業式本番、ただ一回だけ。

 

卒業式のその日その時まで、卒業生は在校生からどんな言葉を言われるのかわからない。

その逆も同じ。

 

伝えるチャンス、聞くチャンスは、一回限り。

だから、真剣に伝えようとし、真剣に聞こうとする。

自然とその一言に、思いを込めようとする。

心に響く一言になる。

 

私の今までの経験からして、多くの学校で卒業式までの合同練習の中で、既に聞いている場合がほとんどなのではないでしょうか。

 

場合によっては、もうたくさんの練習の中で嫌というほど聞いていることもある。

 

本番は失敗できない。時間延長できない。同じ状況で言えるように練習しておく必要がある。

だから、特に前日など同じように通してみる。卒業式を二回するくらいの勢いで立派すぎる前日練習をするときもある。

せっかく今まで呼びかける練習をしてきたのだから本番に聞かせるだけではもったいない。

 

でも果たして本当にそうだろうか。

 

誰のための卒業式なのか。何のための卒業式なのか。

 

今一度そこにたちもどって考えたとき、本番で初めて呼びかけを聞き合うというやり方も当然考えられるはずです。

 

時間については、呼びかけの時間を決めておき、それに従ってそれぞれの学年が練習しておけば容易にクリアできる問題です。

さらにそれぞれの練習も、「6年生に伝えるために。」「在校生に伝えるために。」という目的意識をさらに強く持たせることができ、練習の質も高まります。

 

もう練習で何度も聞きあってるのに、「それでは相手に伝わらない!もっと大きな声でいいなさい!」と叱られる。子ども達は内心、「もう伝えとるわ!」なのでは。

 

また、卒業式本場で大勢の前で言えるのか確かに子どもも教師も不安、というのはあるでしょう。しかし、例え大勢の前で言うのが初めてでも、臆せずに思いを込めて堂々と言える。最後の授業である卒業式でそんな姿を見せられる子どもを育てる。そこをゴールにしているはずです。

 

もちろん、特別に配慮が必要な子はその通りではありません。

 

これは、決して私の思いつきのアイデアではありません。

「精神と時の学校」の卒業式本番。在校生が立ち上がった瞬間、ひな壇にいる卒業生は固唾を飲んで、いよいよ初めて聞く呼びかけに聞き入る。

それを聞いてさらに思いを込めて在校生に伝える。在校生もその言葉に聞き入る。

大きな緊張感の中、互いの思いが最初で最後の一言に込めた言葉に込めて交わされる。そんな子ども達の呼びかけの姿を実際に見てきたからこそ。

 

「互いの呼びかけを聞くのは、卒業式本番のみ。」

皆さんに是非、おすすめしたい取り組みです。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。