花育ては子ども育て
精神と時の学校は今もそうかも知れませんが、私が勤務し始めた頃も花で一杯の学校でした。
中庭は広いウッドデッキなんですが、鉢がところ狭しと並べられていました。
春にはたくさんの花でウッドデッキが彩られていました。
2年生は保護者の協力をお願いして、プランターや苗を購入し、パンジーなどを植えていました。
それで、朝登校して来た子から、次々教室から出てきてペットボトルで自分から水やりするんです。
終わった花を摘む子もいる。
私が赴任した始業式の翌日。決して教室で先生が指示してるわけでもないのですが、たくさんの子が朝、遊びに行く前に花の水やりをする姿がとても印象に残っています。
そんな子ども達の姿が見られたのはなぜなのか。
それは、植えた時の
「きっかけ」
にありました。
2年生はパンジーは植える時が1年生だったので、植えたきっかけは「みんなのパンジーでお世話になった6年生の卒業式の花道をつくろう。」だったのです。
体育館やスペースの関係で、4年生以上しか卒業式には出席できません。だから、直接卒業式の中で感謝の気持ちを伝えることはできない。
だからパンジーにその思いを込めたのです。
6年生は、自分達が最もお世話した1年生が感謝の気持ちを込めてお世話したパンジーの花道に見送られ、中学校へと巣立っていったのです。
きっと式の中でパンジーを見て、1年生と過ごした思い出や、1年生が一生懸命パンジーをお世話した姿を思い出した6年生も多かったことでしょう。
その6年生はもういない。卒業式も終わってしまった。それなのに、2年生が一生懸命お世話するのは何故なのか。
お分りの方も多いかと思います。
翌日か、翌々日だっかに控えた入学式の為だったのです。
私はいなかったので推測ですが、卒業式を終えた振り返りで、6年生がパンジーの花道を通る姿を写真に撮っておく。それを見せて「頑張ってお世話して良かったな」という気持ちにさせる振り返りをする。
そして、次の行事とつなぐ。
「このパンジーどうする?」と聞くと、きっと誰かが言うでしょう。
「入学式で1年生をお迎えするために飾る!」
もちろん教師もそうくると踏んでいたか、もし出ないときは、そんな声が出るような手立てを用意していた。
パンジーを一生懸命お世話する子ども達はの行動は、「水やりしないと叱られる。」ではなく、6年生に感謝の気持ちを伝えよう。」「一年生をお迎えしよう。」という気持ちの現れだったのです。
毎日一生懸命育てた花への愛情や、習慣化もあったかも知れませんが。
栽培委員会などがある学校では、高学年が花を育てることがあると思います。
水やり忘れないために、水やり当番表を書いたり掲示することに重きがいきがちです。それももちろん大切。
でもそれ以上に大切なことは、「何のために花を育てるのか、花を育てることが何につながるのか」という目的や、「お世話を頑張って花を咲かせたいな。」という思いや願いをしっかり持たせることなんだろうと思います。
花育ては子ども育て。
学校において花を育てる活動の目的は、花を咲かせることを通し、子どもを育てることにある。そんなことを、子どもの姿から学んだのでした。
読んで頂きありがとうございました。