「精神と時の学校」で学んだこと

「1日が365日」とまではいかないけれど、いた時間以上に多くのことを学んだ学校。そこで学んだことを紹介します。

花育ては子ども育て

精神と時の学校は今もそうかも知れませんが、私が勤務し始めた頃も花で一杯の学校でした。

 

中庭は広いウッドデッキなんですが、鉢がところ狭しと並べられていました。

春にはたくさんの花でウッドデッキが彩られていました。

 

2年生は保護者の協力をお願いして、プランターや苗を購入し、パンジーなどを植えていました。

 

それで、朝登校して来た子から、次々教室から出てきてペットボトルで自分から水やりするんです。

終わった花を摘む子もいる。

 

私が赴任した始業式の翌日。決して教室で先生が指示してるわけでもないのですが、たくさんの子が朝、遊びに行く前に花の水やりをする姿がとても印象に残っています。

 

 

そんな子ども達の姿が見られたのはなぜなのか。

それは、植えた時の

「きっかけ」

にありました。

 

2年生はパンジーは植える時が1年生だったので、植えたきっかけは「みんなのパンジーでお世話になった6年生の卒業式の花道をつくろう。」だったのです。

体育館やスペースの関係で、4年生以上しか卒業式には出席できません。だから、直接卒業式の中で感謝の気持ちを伝えることはできない。

だからパンジーにその思いを込めたのです。

 

6年生は、自分達が最もお世話した1年生が感謝の気持ちを込めてお世話したパンジーの花道に見送られ、中学校へと巣立っていったのです。

きっと式の中でパンジーを見て、1年生と過ごした思い出や、1年生が一生懸命パンジーをお世話した姿を思い出した6年生も多かったことでしょう。

 

その6年生はもういない。卒業式も終わってしまった。それなのに、2年生が一生懸命お世話するのは何故なのか。

 

お分りの方も多いかと思います。

翌日か、翌々日だっかに控えた入学式の為だったのです。

 

私はいなかったので推測ですが、卒業式を終えた振り返りで、6年生がパンジーの花道を通る姿を写真に撮っておく。それを見せて「頑張ってお世話して良かったな」という気持ちにさせる振り返りをする。

そして、次の行事とつなぐ。

「このパンジーどうする?」と聞くと、きっと誰かが言うでしょう。

「入学式で1年生をお迎えするために飾る!」

もちろん教師もそうくると踏んでいたか、もし出ないときは、そんな声が出るような手立てを用意していた。

 

パンジーを一生懸命お世話する子ども達はの行動は、「水やりしないと叱られる。」ではなく、6年生に感謝の気持ちを伝えよう。」「一年生をお迎えしよう。」という気持ちの現れだったのです。

毎日一生懸命育てた花への愛情や、習慣化もあったかも知れませんが。

 

栽培委員会などがある学校では、高学年が花を育てることがあると思います。

水やり忘れないために、水やり当番表を書いたり掲示することに重きがいきがちです。それももちろん大切。

でもそれ以上に大切なことは、「何のために花を育てるのか、花を育てることが何につながるのか」という目的や、「お世話を頑張って花を咲かせたいな。」という思いや願いをしっかり持たせることなんだろうと思います。

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花育ては子ども育て。

学校において花を育てる活動の目的は、花を咲かせることを通し、子どもを育てることにある。そんなことを、子どもの姿から学んだのでした。

 

読んで頂きありがとうございました。